近年、注目を集めている「プログラミング学習」。小学校での必修化も始まり、お子さんにプログラミングを学ばせようかと考えている保護者の方も多いのではないでしょうか。
しかし、「一体いつから始めるのが良いの?」「うちの子の年齢だと、どんな内容を学べばいいの?」といった疑問をお持ちの方もいらっしゃると思います。
この記事では、小学生のプログラミング学習を始めるべき時期について、早くから学習することのメリットや、小学1〜2年、3〜5年、6年生以上〜、それぞれにおすすめの学習内容を詳しく解説します。お子さんのプログラミング学習を検討されている方は、ぜひ最後までお読みください。
目次
【結論】興味があるなら、プログラミングを始めるのは早ければ早いほど良い。
「小学生のプログラミング学習はいつから始めるのがいいの?」


「お子さんが興味をもったときです!そして早く始められるに越したことはありません。」
子どもの脳が柔軟な時期にプログラミング的思考に触れることは、お子さんにとって多くのメリットがあります。おこさんが早くからプログラミングを始めることで、プログラミングを学習するメリットを多く享受することができます。
お子さんが低年齢の時期からは「楽しさ」重視の学習をする。高学年から始めるなら少し高度なテキストコーディングを学習する。など、お子さんの年齢や発達段階に合わせた学習をすることで、何歳から始めても楽しく、効果的にプログラミング学習をすることができるでしょう。
小学生が「早く」プログラミングを行うべき理由

それでは、小学生が「早く」プログラミング学習に触れたほうがいい理由を解説します。
小学生がプログラミング学習を行うメリットを早くから得られる
小学生が、プログラミング学習をやるメリットは以下のことが挙げられます。
- 論理的思考力(プログラミング的思考)が向上する
- 問題解決能力・課題発見能力が磨かれる
- 創造力・表現力が豊かになる
- 集中力と継続力が身につく
- 情報活用能力・情報リテラシーが向上する
- 将来の可能性が広がる
プログラミング学習をすることで、子どもにはたくさんのメリットがあります。それは、プログラミングスキルの上達だけでなく、生活や教科学習にも生きてきます。これらのメリットを早くから得ることができるのが、「プログラミング学習をやるなら早ければ早いほどいい」という理由の一つになります。
関連記事:プログラミング教育って小学生に必要?プログラミング教室のメリットを徹底解説
小学校でのプログラミング学習の準備になる
2020年度から、小学校においてプログラミング学習が必修化されました。これは、特定のプログラミング言語を習得することではなく、「プログラミング的思考」を育むことが目的です。
学校の授業では、プログラミングの考え方に触れる機会が設けられますが、限られた時間の中で深く探求したり、個々の興味に合わせて発展的な学習をしたりすることは難しいのが現状です。
しかし、小学校でプログラミング学習が必修化されたということは、プログラミング的な考え方が今後、教育の土台としてより重要視されていくと言っていいでしょう。
学校の授業が始まる前にプログラミングに触れておくことで、お子さんは抵抗なくスムーズにプログラミングの授業に取り組み始めることができます。さらに、基本的な概念を既に理解していることで、授業内容をより深く理解したり、発展的な内容に挑戦したりする余裕が生まれます。
事前にプログラミングに触れていくことは、お子さんが自信を持って小学校での学習に取り組む上で大きなアドバンテージとなるに違いありません。
ITについて考えるようになる

私達の生活の中に、プログラミングを使って動いているものは数え切れないほどあります。例えば、スマートフォンやゲームはもちろん、エアコンや冷蔵庫などもプログラミングの技術が使われています。
プログラミングを早くから学習すると、身の回りのものが「どうやってどのようなきまりで動いているのか」、「どうやったら動かせるのか」、を考えるようになってきます。

なんでも興味がある低年齢の時期には、「iPadもプログラミングで動いているね」「実はエアコンもプログラミングが使われているんだよ」と話しながら、プログラミングから身近なIT機器の話ができるといいですね。
この先、IT機器はますます生活になくてはならないものになってきます。小さい頃からITへの興味をもっておくことで、将来IT機器を使いこなして生活を豊かにしたり、ITの知識やスキルを使った職に使うことも期待できます。
このように、早期のプログラミング学習は単独のスキルとしてだけでなく、お子さんのITへの興味を深め、生活を豊かにする相乗効果も期待できます。早い時期からこれらの基礎的なITスキルを養っておくことは、お子さんの将来のITへの理解を向上させることにつながります。
いつ始めても早くないし、遅くない。いつでも始められる準備はしておく
「プログラミングは早く始められるほど良い」という話をしましたが、これは決して「◯歳までに始めないと手遅れ」ということではありません。
お子さんの興味や発達段階は一人ひとり異なります。小学校高学年になってからプログラミングに興味を持つ子もいれば、中学生になってから本格的に始める子もいます。

周りの子と比べることではなく、お子さん自身がプログラミングに興味を持ったその時が、その子にとっての「ベストな開始時期」だと思っています!
たとえば、小学校低学年で始めるメリットは、知識の習得そのものよりも「プログラミングって楽しい!」「コンピューターって面白い!」というポジティブな体験を得やすい点にあります。この楽しさこそが、今後の学習を続ける上での一番のモチベーションになります。
一方、小学校高学年や中学校から始める場合は、既に文字の読み書きや抽象的な思考、タイピングなどの基礎能力がある程度できてるため、より複雑な内容やテキストコーディングにも比較的スムーズに入っていけるという側面もあります。
つまり、いつから始めても、必ずその年齢ならではの学びやメリットがあるということです。もし、お子さんが少しでもプログラミングに対し、「面白そうだな」「やらせてみようかな」と思った時がきたなら、まずは小さくでもプログラミングに触れさせてあげることが最も重要です。
お子さんがプログラミングに興味をもったらすぐにプログラミング学習が体験できるように、パソコンを用意したり、学習用の書籍やYoutubeの動画などで、保護者自身がプログラミングについて知識を少しずつ学んでおくなど、保護者側もある程度準備しておく必要があります。
【年齢別】小学生がプログラミングを始める際にやるべきこととおすすめの学習内容

では、具体的に小学生の各年齢段階ではどのようなプログラミング学習に取り組むのが良いのでしょうか。お子さんの発達段階や年齢に合わせて、おすすめの学習内容をご紹介します。

年齢はあくまで目安です!お子さんの発達段階や興味の強さに合わせて柔軟に対応してください!
小学1~2年生:まずパソコンやタブレットに慣れ、「楽しい!」の気持ちを育む
小学校に入学したばかりのこの時期は、何よりも「楽しさ」を最優先にプログラミングに触れることが大切です。本格的なコーディングよりも、コンピューターやタブレットを使った遊びや、プログラミング的な考え方に触れる体験が中心となります。
まずはパソコンやタブレットの基本操作に慣れる
マウスやキーボードの操作、電源のオンオフ、アプリケーションの起動と終了など、基本的な操作を覚えながら遊んでみましょう。お絵かきソフトや簡単なゲームなど、お子さんが興味を持てるツールを使うと良いでしょう。
ローマ字入力の練習も少しずつ始めると、将来的にテキストコーディングに進む際にスムーズです。いきなり全てを覚える必要はなく、タイピング練習用のゲームなどを活用して、楽しみながら指の使い方を覚えることから始めましょう。
視覚的・直感的なプログラミングツールで遊ぶのがおすすめ
まだ抽象的な思考が難しいこの時期には、視覚的にブロックを組み合わせてプログラムを作る「ビジュアルプログラミング」もしくは、「おもちゃを使ったプログラミング」が適しています。基本的に、お子さん本人が楽しく取り組めるものがおすすめです。以下、どのようなツールで遊べばいいか、おすすめを紹介します。
- Viscuit(ビスケット): メガネに書いた絵を動かすシンプルな仕組みで、未就学児からでも直感的に楽しめる。絵を動かす、音を鳴らすといった表現活動を通じて、プログラミングの概念を体感できる。
- Scratch (スクラッチ)世界で最も広く使われているビジュアルプログラミング言語です。様々な機能ブロックを組み合わせて、ゲームやアニメーション、音楽、アートなど、非常に多様な作品を作ることができます。文字や数を使わないScratch Jr.(スクラッチジュニア)もリリースされています。
- おもちゃを使ったプログラミング:おもちゃに命令ブロックを組み合わせて動かすといった、物理的なおもちゃと連動したプログラミング。目の前のおもちゃが自分のプログラムで動く実体験が得られる。
「何ができたか」の結果よりも、「楽しさ」を重視する
この時期は、高度なプログラムを作れるようになることよりも、プログラミングやコンピューターに触れること自体が楽しいと感じられるかどうかが最も重要です。
お子さんが試行錯誤している過程を褒めたり、一緒にプログラムを作ってみたりと、ポジティブな声かけを心がけましょう。エラーが出ても「なんでだろうね?」と一緒に考えてあげることで、問題解決への興味を引き出すことができます。

完成度よりも、お子さんが自分で考えて「できた!」という達成感を味わえるようにサポートすることが大切です。
小学3〜5年生:プログラミングで簡単な作品づくりを目指す
小学3年生以上になると、文字の読み書きや簡単な計算ができるようになり、抽象的な思考力も少しずつ発達してきます。
3年生〜5年生の時期は、プログラミングの基本的な概念(順次処理、繰り返し、条件分岐など)を理解し、それらを組み合わせて簡単な作品作りに挑戦するのに非常に適しています。
作品づくりをするのにおすすめの学習ツール
この年代になると、自分の好きなことや興味の対象がより明確になってきます。ゲーム、アニメ、乗り物、生き物など、お子さんの興味に合わせたテーマを選んでプログラミング学習を進めると、モチベーションを高く保つことができます。
- Scratch (スクラッチ): 小学校低学年から使えるビジュアル言語のプログラミングツール。小学生高学年くらいまで十分に楽しく学べる。他者が作った作品を真似したり改造したりする機能もある。
- Code.org: 世界中の子どもたちが利用するプログラミング学習サイト。アワーオブコードなど、ゲーム感覚でプログラミングの基礎概念(シーケンス、ループなど)を学べるコースが豊富に用意されている。
- ロボットプログラミング: 作ったプログラムが物理的に動くため、達成感が得やすい学習方法。レゴ® エデュケーション SPIKE™ プライムやKOOV®(クーブ)など、様々な種類のロボット教材がある。教材費が高額なのが難点。一部のプログラミングスクールでは貸出可能。
文字の読み書きや簡単な計算ができる強みを活かすには

小学3年生以上になると、プログラミングツールや教材の指示文を自分で読んだり、簡単な計算(座標の移動量など)をプログラムに取り入れたりすることが可能になります。これにより、プログラミングでできることの幅が格段に広がります。
たとえば算数で学んだ図形や角度の知識を活かしてキャラクターを思い通りに動かしたり、計算を使ってゲームのスコアを付けたりと、他教科で学んだ知識をプログラミングに応用する楽しさも体験できます。
エラーメッセージも、簡単なものであれば保護者のサポートを得ながらも自分で読み解き、修正しようとすることができます。

自然に文字が読め、計算ができれば、自分でプログラミングでできることの幅が一気に広がります!
小学6年生〜:より高度なプログラミングやテキストコーディングにチャレンジできる時期
小学校高学年になると、抽象的な思考力がさらに発達し、複雑な指示を理解する能力も高まります。パソコンの操作にも慣れている子が多いため、ビジュアルプログラミングでより複雑な作品を作るだけでなく、テキストコーディングにも挑戦する良いタイミングです。
パソコンの操作もしっかりできるようになる年代
基本的なパソコン操作は習得済みであることが多いため、ソフトウェアのインストールやファイル管理、複数のウィンドウを切り替えて作業するといったこともスムーズに行えます。これにより、開発環境の構築や情報収集など、プログラミングの学習がより効率的に行えるようになります。
この頃には、インターネット検索やYoutubeでの調べ物もできるようになっているでしょう。つまり、プログラミングで行き詰まったとしても、自分で問題を解決できるスキルは備わっていることになります。
テキストコーディングにチャレンジするのもOK

6年生以上から始める際、ビジュアルプログラミングだけでは、物足りなくなることがあるかもしれません。理解が早いお子さんで、英語に苦手意識がない場合、本格的なテキストコーディングを検討に入れてもいいでしょう。
テキストコーディングとは、いわゆる「プログラマー」と呼ばれる職種の人が用いるプログラムの方式です。いろいろなプログラミング言語がありますが、代表的なものをいくつか紹介します。
- Python (パイソン): 初心者向けのテキスト言語として世界的に人気が高い言語。Webサイト開発、データ分析、AI、ゲーム開発など。
- HTML/CSS: Webサイトの見た目を作るための言語。簡単なWebページを作成できる。
- JavaScript: Webサイトに動きや飾りをつけるための言語。
- C#(シーシャープ): 大規模ゲーム開発プラットフォームUnityで使われている言語。極めれば本格的なゲームを作成できる。
テキストコーディングを始める際、どの言語を選ぶかは、お子さんが「何を作りたいか」によって決めるのが良いでしょう。「ゲームを作りたい」ならPythonやC#、「Webサイトを作りたい」ならHTML/CSS/JavaScriptといったように、具体的な目標があるとモチベーションを維持しやすくなります。
テキストコーディングの難点は、Scratchなどのビジュアルプログラミングと比べて、「今、正しくできているのか」がわかりにくく、初心者には難しく感じることがあります。また、保護者も初心者の場合、ぱっと見ただけではお子さんが何をやっているのか理解できないことが増え、お子さんが困っていてもサポートができない場面も出てくるかもしれません。

テキストコーディングは挫折しやすいので、「難しそう」と思ったら、ビジュアルプログラミングから初めても全然OKです!
お子さんの興味や習得段階に合わせて、学習内容を決める

同じ学年でも、興味や理解度は様々
年齢別におすすめの学習内容をご紹介しましたが、これらはあくまで一般的な目安です。当然ですが、お子さんの興味や理解度、そして得意なこと・苦手なことは一人ひとり異なります。
お子さん自身が、今、どの程度の理解度なのか、どんなものを将来的に完成させたいのかによって、扱うツールを柔軟に替えていきましょう。
興味がある分野から入るのがベスト
ゲームが好きならゲーム作り、絵やアニメが好きならアニメーション作り、ロボットが好きならロボットプログラミングといったように、お子さんが心から「やりたい」と思える分野から始めることで、自発的に学習に取り組むようになります。
学習初期に、無理に難しい内容を押し付けると、プログラミング自体が嫌いになってしまう可能性もあります。
最初は簡単なツールから始めて、お子さんの成長に合わせて徐々にレベルアップしていくのが理想的です。
効率よく、継続的に学習するならプログラミングスクールを検討

ここまで、ご家庭でお子さんの年齢や興味に合わせてプログラミング学習を進める方法について解説してきました。
しかし、「何から始めたら良いか分からない」「子どもに教える自信がない」「自宅だと集中できない」といった悩みをお持ちの保護者の方もいらっしゃるかもしれません。
そのような場合は、プログラミングスクールの活用を検討してみるのも一つの有効な選択肢です。プログラミングスクールには、ご家庭での学習にはない様々なメリットがあります。
関連記事:プログラミング教育って小学生に必要?プログラミング教室のメリットを徹底解説
体系的なカリキュラムで効率よく学べる
プログラミングスクールでは、お子さんの年齢やレベルに合わせて体系的に設計されたカリキュラムに沿って学習を進めます。プログラミングの基礎から応用まで、段階的に無理なくステップアップできるため、効率的にスキルを習得することができます。
ご家庭で市販の教材やオンラインリソースを使って独学する場合、次に何を学べば良いか迷ったり、順番を間違えて非効率になったりすることがあります。スクールであれば、プロが監修したカリキュラムがあるので安心です。
経験豊富な講師のサポートを受けられる
プログラミングスクールには、プログラミングの知識や指導経験が豊富な講師がいます。お子さんがプログラムで分からない箇所があったり、エラーで詰まってしまったりした際に、適切なアドバイスやサポートを受けることができます。
ご家庭での学習でつまずいてしまうと、そのまま挫折してしまうことも少なくありません。しかし、スクールであればすぐに質問できる状況が多く、問題を早期に解決し、スムーズに学習を進めることができます。
また、お子さんの理解度に合わせて、個別に丁寧に指導してくれる点も大きなメリットです。
集中できる学習環境とモチベーションの維持
プログラミングスクールでは、決められた時間、学習に集中する環境に身を置き、お子さんはプログラミング学習取り組みます。誘惑が少ない環境で、学習モードに切り替えることができます。
また、同じようにプログラミングを学ぶ仲間がいることも、お子さんのやる気アップにつながります。友達が一生懸命プログラミングしている姿を見たり、自分の作品を友達に見てもらったりすることで、「自分も頑張ろう!」という気持ちが芽生えやすくなります。

我が子の場合ですが、「モチベーションを保てる」ことがプログラミングスクールに入って一番良かったことでした!
まとめ:お子さんにぴったりのタイミングと方法で、プログラミング学習の第一歩を踏み出そう!
この記事では、小学生のプログラミング学習をいつから始めるのが良いのか、そして年齢別のおすすめ学習内容や、プログラミング学習で得られるメリットについて詳しく解説しました。
プログラミング学習は早ければ早いほど、将来役立つ力を自然と身につけやすいです。
ただし、最も大切なのはお子さん自身が興味をもつことです。「興味をもったとき」がその子にとってのベストなタイミングです。
いつプログラミングをはじめても、その時点でのお子さんの発達段階によって、柔軟に学習方法を変えることによって、プログラミングを習得していくことができます。
AIやテクノロジーがますます社会に浸透していくこれからの時代において、プログラミングは、子どもたちの「生きる力」の基礎となる重要なスキルになっていくと思っています。
「うちの子にはまだ早いかな?」と悩むよりも、まずはこの記事を参考に、お子さんの様子を見ながら、興味を引き出せるような方法でプログラミングの世界に触れさせてあげてみましょう。